経済安全保障
Ⅰ 米中の諸規制動向の概観(時系列による) 

2023.5.22開設

  1. ●トランプ政権発足以降、米中間の緊張が高まり始め、2017年12月の国家安全保障戦略の公表、2018年に入ってのUSTRレポート及びホワイトハウス『中国の経済侵略』レポート公表、同年8月の国防権限法の成立及びEntity Listの広汎な活用開始、同年11月のペンス副大統領の対中政策演説と続き、対中「新冷戦」の様相を濃くしていった。その後、香港情勢の悪化と香港国家安全維持法の成立を境に、ウイグル人権問題もあり、米国政府・議会の対中強硬姿勢が強まっていき、政権交代を迎えた。
  2. ●バイデン政権では、対中融和的になるとの見方もあったが、(気候変動対策での協力は別として)安全保障、人権の両面でトランプ政権以上に強硬な措置を打ち出し、議会もまた包括的な対中強硬法案を成立させてきている。
  3. ●2023年5月現在では、中国に関しては、中国の台湾への武力行使やロシアとの関係密接化への懸念増大に加えて、習近平政権の第3期目での「国家安全」至上的動き(民営企業への政府・党の支配強化、反スパイ法の改正と執行強化、データ鎖国化等)が一気に顕在化し、米国に関しては、中国の台湾を含む力による国際秩序の現状変更の動きに対抗するための、対中半導体・スパコン関連規制の著しい強化、新興技術分野等の対中輸出規制に加えて、対中投資規制、資金提供規制等の動きを、超党派議会、政府が強めている。台湾関連の多くの法案が上下院の委員会で可決・審議がされている。不透明感が強くなっており、予断を許さない状況となってきている。
  4. ●下記掲載資料は、その時々の米中の規制等の動向を概観的にまとめたものであり、時系列で読むと一連の流れが把握できる。
     より具体的な内容については、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの資料をご参照いただきたい。

【注】資料の時系列は下から上になっている。

バイデン政権時(大統領選後):2020.12~ ※政府・議会双方の動きを含む

  1. ■【米国】最近の米国の輸出管理と経済安保関連の規制動向―2024年4月以降の動向(2024.10.24)
  2. ■【中国】中国の最近の輸出規制とその関連動向(改訂版)-2024年春以降の動向を中心として (2024. 8.5改訂版)
  3. ■【米国】最近の米国の輸出管理と経済安保関連の規制動向―2023年12月以降の動向(2024.4.15)
    【参考資料】米議会 米中経済・安全保障調査委員会(USCC)年次報告書(2023年版)の提言概要
  4. ■【米国】最近の米国の輸出管理とその周辺分野における規制動向(第2版)(2023.12.19)
  5. ■【米中】最近の米中の経済安全保障関連規制の諸動向について―2023年5月以降の状況(2023.7.24)
  6. ■【米国】米国等の対外投資規制及び対中包括的対抗法案に関する諸動向について(2023.6.27)
  7. ■【米中】最近の米中関連の経済安全保障関連動向等と留意点―23年2月以降の状況―(2023.4.27)
  8. ■【中国】中国の最近の輸出規制とその関連動向(第2版)-2022年秋以降の動向を中心とし て (2023.1.31/同2.27第2版)
  9. ■【米国】米国の国防権限法、知財保護法、包括的歳出法等による対中規制強化等の諸動向―22年12月以降を中心にして(2023.1.19)
  10. ■【米欧中】最近の米欧、中国の輸出管理・経済安全保障規制動向等と留意点―22年9月初め時点での状況―(2022.9.6)
  11. ■【米中】最近の米国・中国の経済安全保障関連規制の諸動向(3)(改訂2版)―22年初め以降の動向を中心に(2022.5.31。2022.7.1改訂2版)
  12. ■【米中】米国・中国の経済安全保障関連規制の諸動向(2)―21年11月以降の動き/規制は更に尖鋭化(2021.12.22)
  13. ■【米中】米国・中国の経済安全保障関連規制の諸動向(1)―21年春以降の動向を中心に(2021.10.26)
  14. ■【米中】最前線・香港から見える米中新冷戦の様相(CJ21年9月号)
    日本経済新聞社 編集委員  川瀬 憲司
  15. ■【米中】中国ビジネスの安定性・前提を揺るがす米中の諸規制の一層の尖鋭化 ―中国側のドラスティックな規制と政策転換で、対中ビジネスに多大な影響(2021.8.23)
  16. ■【米中】尖鋭度を増す米中の諸規制の動向と留意点 ―従来規制の拡大強化とともに、包括的対抗規制が具体化へ(2021.7.7)
  17. ■【米中】バイデン政権発足後の米中の規制動向及び留意点に関するQA風解説 (2021.4.30)
  18. ■【米国】米国新政権下における対中政策・規制をめぐる動向(2021.3.1)
  19. ■【米国】米国大統領選後に打ち出された米議会・政府による対中規制・政策及び中国側の措置(2021.1.5。同1.25改訂増補)

トランプ政権時:2017~ ※政府・議会双方の動きを含む

  1. ■【米国】最近の米国の対中諸規制に関するQA風解説(2020.11.2)
  2. ■【米中】米中関係等の緊迫化と諸規制のビジネスリスクに関する留意点(2020.9.2)
  3. ■【米国】米中緊迫下における米国諸規制についてのQA風解説(2020.9.2)
  4. ■【米国】米国の香港自治法等による対中制裁及び香港国家安全維持法によるビジネス上の影響に関するQA風解説 (2020.8.19)
  5. ■【米中】米中関係等の緊迫化と諸規制の動向について(概観)(2020.06.30)
  6. ■【米中】最近の米中関係の緊張状況について(概観)(20.05.18/改訂2版20.06.05)
  7. ■【米中】米中間の緊張に伴う諸規制の動向と留意点(全体概観)(改訂1版)(2020.3.12)
  8. ■【米中】米中間の緊張に伴う諸規制の動向と留意点(全体概観)(2020.03.03)
  9. ■【米中】米中の貿易関連等の諸規制の動向について(全体概観)(改訂1版)(2019.09.13)
  10. ■【米中】米中の新たな貿易管理規制及び関連する諸動向(2019.3.19。4/11一部加筆)
  11. ■【米国】最近の米国の対中規制・制裁リスト掲載動向(CJ19年7月号) ⇒19年6月末までの全般的リスト掲載動向
  12. ■【米中】中国及び米国における十分留意が必要な立法等の動向―技術流出・セキュリティ問題、軍民融合に密接に関係し、企業活動の前提、国際競争力に多大な影響(CJ19年1月号)
  13. ■【米中】米中関係の緊張に伴う企業活動、研究活動への影響・リスクに関する留意点(CJ19年1月号)
  14. ■【米国】米国からの制裁・規制リスクに関する留意点(まとめ) ―米国の対中認識を踏まえた慎重な対応の必要性 (CJ18年11月号)

【ペンス副大統領演説】

  1. ■【米国】ペンス副大統領による対中政策に関する演説(第2次)について ―やや融和的印象があるも広汎な対中批判の基調は維持
    〈参考資料〉ペンス副大統領による対中政策に関する演説(全訳)
    (CJ19年11月号)
  2. ■【米国】米中関係の「新冷戦」化の諸様相―ペンス副大統領演説の広汎な中国批判とその背景、留意点(CJ18年11月号)
    〈参考資料1米国政権の対中政策に関するペンス副大統領の演説(18.1.4)(全訳)(CJ18年11月号)

【米中関係の「新冷戦」化の諸様相】

  1. 米中関係の『新冷戦』化の諸様相(10)―新型コロナウイルス問題によって惹起された諸々の「緊張」 ―(CJ20年5月号)
  2. 米中関係の『新冷戦』化の諸様相(9)―新型コロナウイルス禍でも、米国の対中強硬姿勢は変わらず(CJ20年3月号)
  3. 米中関係の『新冷戦』化の諸様相(8)―貿易交渉で「第一段階」合意がなされるも、体制、価値観での対立は継続(CJ 20年1月号)
  4. 米中関係の『新冷戦』化の諸様相(7)―貿易交渉で一部合意の動きがあるも、広汎な分野での緊張が継続(CJ 19年11月号)
  5. 米中関係の『新冷戦』化の諸様相(6)―経済、政治、軍事全般で緊迫度が増す(CJ 19年9月号)
  6. 米中関係の『新冷戦』化の諸様相(5)―貿易交渉決裂後、緊迫度が増す(CJ 19年7月号)
  7. 米中関係の『新冷戦』化の諸様相(4)―政治・経済・技術・軍事全般で緊張は継続(CJ 19年5月号)
  8. 米中関係の『新冷戦』化の諸様相(3)―米中協議進展の可能性あるも、緊張要因は多数(CJ 19年3月号)
  9. 米中関係の『新冷戦』化の諸様相(2)―米議会、政府とも強硬姿勢強める(CJ 19年1月号)
  10. 米中関係の「新冷戦」化の諸様相―ペンス副大統領演説の広汎な中国批判とその背景、留意点(CJ18年11月号)

【トランプ政権初期のUSTR報告書/ナヴァロレポート「中国の経済侵略」】

  1. ■【米国】トランプ政権の対中姿勢を示す二つのレポート―USTR報告書と通商製造業政策局報告書(CJ18年9月号)
    CISTEC 参与  藤本 修