米国商務省は、2017年3月、中国通信機器大手企業がイランや北朝鮮に違法に米国製通信機器等を輸出していたとして、総額1360億円の罰金を支払うことで合意したと発表しました。米政府による輸出違反の罰金としては過去最高額です。なぜ、中国の企業が米国の輸出管理規則に違反したとして米政府から制裁されたのでしょうか?
米国の輸出管理法は、米国からの輸出だけでなく、米国から輸出された品目やそれらを組み込んだ品目が、輸入国から再輸出される場合にも規制対象としているからです。また、米国政府の制裁対象企業等と取引すれば、取引した企業もまた制裁対象となってしまいます。さらに、イラン、北朝鮮向けのように、米国製品が組み込まれていなくても、大量破壊兵器開発等に寄与したと認定されれば、制裁を科せられる法令もあります。本書は、日本の企業や大学が、米政府から制裁されるこのようなリスクを回避するために、どのような対応をするべきかを詳細に解説したものです。
○目 次
はじめに
第1 章 なぜ米国法を学ぶ必要があるのか
―リスクマネジメントとしての米国再輸出規制対応―
1−1.コンプライアンスプログラムとリスクマネジメント
1−2.プラスαとは何か
1−3.再輸出規制とは
1−4.米国法に違反した場合
1−5.違反事例
1−6.Denied Persons への指定
1−7.Denied Persons List とは
1−8.本書の目的
第2 章 外為法との比較から理解する米国輸出管理の枠組みと制度
2−1.輸出管理とは
2−2.国際社会で取り組む輸出管理
2−3.外為法との比較で米国法を理解する
2 − 3 − 1.日本の法令
2 − 3 − 2.日本の輸出管理実務
2 − 3 − 3.米国における汎用品と武器の輸出管理
2 − 3 − 4.その他の関係省庁
第3 章 米国法の全体像
3−1.米国法の用語(外為法との関連から理解する)
3−2.Subject to the EAR(=EAR の対象)とは何か(EAR Part 734)
3−3.Items Subject to the EAR(EAR の対象となる品目)(EAR § 734.3(a))
3−4.EAR の対象とならない品目(EAR § 734.3(b))
3−5.Subject to the EAR のまとめ(EAR § 734.3(c))
第4 章 米国における汎用品の輸出管理
4−1.EAR を読む
4 − 1 − 1.Export Administration Regulations:EAR
4 − 1 − 2.EAR の全体像
4 − 1 − 3.Federal Register Notices
4−1−4.GPO's EAR: e-CFR( EARの電子ページ)
4−2. 懸念顧客をチェックする
4 − 2 − 1.各種リスト
4−2−2.Consolidated Screening List( CSL)の調べ方
第5 章 業態別の再輸出管理実務
5-1.業態別の再輸出管理実務とは
5-2. タイプⅢ(Light 級管理)の企業・大学
―リスト規制品(技術)なし/テロ・禁輸国なし―
5-3. タイプⅡ(Middle 級管理)の企業・大学
―リスト規制品(技術)あり/テロ・禁輸国なし―
5-4. タイプⅠ(Heavy 級管理)の企業・大学
―テロ・禁輸国との取引を行う( リスト規制品の有無は問わない) ―
第6 章 米国法における許可要否の判断
6-1.EAR 対象品目の洗い出し
6-2.許可要否判断とは何か?
6-3.ECCN(規制品目分類番号)を特定する
6-4.CCL と許可要否判断(貨物)
6-5.技術の再輸出を考える
6-6.米国政府への許可申請
6-7.Know your Customer
おわりに
巻末資料
EAR Part 734
EAR Part 736
EAR Part 738 Supplement No.1
EAR Part 740
EAR Part 740 Supplement No.1
EAR Part 744 Supplement No.2
EAR Part 746
EAR Part 746 Supplement No.2
用語集
米国独自規制品目