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第24回 日本安全保障貿易学会研究大会終了

 

 第24回日本安全保障貿易学会研究大会は、53名の参加者を得て2017年10月7日(土)に拓殖大学にて開催された。

 自由論題セッションの応募は無かったため、午後の2件のテーマセッションで開催された。

 第1セッションでは、米国DTSA(Defense Technology Security Administration)のScott Nelson氏を迎え、「米国国防総省・国防技術保全管理局(DTSA)との戦略対話」と題し、米国国防総省(DoD)における輸出管理政策に関し報告いただき意見交換を行った。Nelson氏からアジア圏におけるDoDの武器輸出に関する政策について報告があった。
 近年アジア圏における武器輸入額はEUを超えており、DoDとしても注目している。米国の武器輸出については米国の技術優位、地域の安定、パートナー国の安全保障等を考慮して決定しており、相互運用性、軍隊間の連携、永続的な関係を重視している。特に技術の移転、再移転、みなし輸出には、一旦流出してしまえば同盟国全体に危機に瀕するので気を使っているとのことであった。更に、日本、台湾、中国に関するDTSAの取り組みについて報告があった。この後、これ等の状況に対し、買収・対諜報等の対応として、JAPEC(Joint Acquisition Protection and Exploitation Cell)、CFIUS(Committee on Foreign Investment in the U.S.)等の組織、活動について紹介があった。報告後、フロアから活発な質疑があった。

 第2セッションでは日本における防衛装備品に対する検討の一助とするために、韓国における防衛産業の現状と輸出管理に関し、「韓国の輸出政策の動向」をテーマとして取り上げた。
 畑氏から「韓国の輸出管理政策/制度の動向」と題し、近年の政策・制度の紹介があった。韓国は2001年に4レジームに参加後、2005年輸出入管路情報YesTradeを構築、2007年戦略物資管理院KOSTI設立など急速に体制整備を行ってきた。近々ではCP等級制実施、自国企業に対するビジネス支援の為の輸出管理施策を策定し、原子力プラント輸出許可制度などを新設している。政府が先導して装備品を含む輸出を促進している姿が浮き彫りになっている。一方、アジア圏に向けに韓国輸出制度の海外普及活動を実施し、タイがYesTradeの導入を決めるなどアウトリーチにも積極的な活動を行っている、との報告があった。
 伊藤氏からは「韓国防衛産業の現状と課題」と題し、韓国の安全保障・国防政策に関し報告があった。装備品輸出額はこの10年で10倍(25億ドル)にもなり、輸出先も倍増した。これ等は国防外交・トップセールスや、資金融資などの輸出支援制度を制定したなど、防衛産業振興策が有効に機能したためとされる。一方、課題も多く、相次ぐ装備品の欠陥が露呈すると共に、国産化率の伸び悩みの問題もある。特に航空機では39.6%と低迷している。また、産業不正に対する改革、技術革新と独自技術の流出保護などの課題もある。装備品は売れ続けなければならない宿命があり、次の装備品の開発も課題となっている、との報告があった。

 今回のテーマセッションでは米国DTSAとの戦略対話が実現したことは大変有意義であった。更に、防衛装備品の輸出に関し、韓国での制度、課題の報告があった。大変参考になるテーマであり、フロアからも活発な質問・意見が出され有益な研究大会であった。

2017年11月
日本安全保障貿易学会 会長 鈴木 一人



会場風景

 

鈴木会長 挨拶

日本安全保障貿易学会 第23回 研究大会プログラム

日時:2017年10月7日(土)
(12:30〜12:50 2017年度総会)
13:00〜15:00 第1セッション
15:10〜17:00  第2セッション

会場:拓殖大学(東京都 文京区)文京キャンパス C101教室
〒112-8585 東京都文京区小日向3-4-14
TEL:03−3947−9295

・テーマセッション

第1セッション:<米国国防総省・国防技術保全管理局(DTSA)との戦略対話>13:00〜15:00

報告者:SCOTT NELSON氏(Senior Regional Policy Advisor Policy Directorate Defense
                  Technology Security Administration)
     「DTSAの輸出管理戦略」
司会:鈴木 一人 氏(北海道大学)
討論者:佐藤 丙午 氏(拓殖大学)


第2セッション:<韓国の輸出管理政策/制度の動向>  15:10〜17:00

報告者:畑 良三氏(CISTEC輸出管理アドバイザー)
     「韓国の輸出管理政策(或いは制度)の動向

報告者:伊藤 弘太郎氏(キヤノングローバル戦略研究所研究員)
     「韓国防衛産業の現状と課題」

司会:橋本 弘二氏(日本機械輸出組合)
討論者:高野 順一氏(日本輸出管理研究所)


第1セッション:「米国国防総省・国防技術保全管理局(DTSA)との戦略対話」
左より 鈴木 一人氏、佐藤 丙午 氏、SCOTT NELSON氏



第2セッション:「韓国の輸出政策の動向」
左より 橋本 弘二氏、高野 順一氏、畑 良三氏、伊藤 弘太郎氏