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第13回日本安全保障貿易学会研究大会終了

 

 第13回日本安全保障貿易学会研究大会は、約70名の参加者を得て2012年3月24日(土)に拓殖大学で開催された。自由論題セッションでは「アメリカ外交と輸出管理-その歴史的展開-」と題し、戦後における米国輸出管理政策の変遷及び、米政府が外交政策のツールとしていかに輸出管理を利用してきたかについて、米国内政治の文脈から検討された。
 テーマセッションの第1セッションでは、「イランの核兵器問題と輸出管理」と題し、主にイランの核兵器の問題を取り上げた。中東情勢を俯瞰したイラン情勢のこれまでの経緯、制裁に対するオバマ政権の意図などについて報告の後、北朝鮮の関連も含めたイラン制裁に対する日本の対応等につき報告があった。更にイランの核開発の我が国への影響につき考察した報告があった。イラン制裁については、金融制裁等が強化されている時期で、一般的に、現時点のイランとイスラエルの政治動向の関心が高い。したがって、報告は輸出管理の観点からのみならず、世界情勢の観点からの分析も加えられたものであった。
 第2セッションは「中国を軸にした輸出管理システム」を取り上げた。中国軍需産業の調達・拡散の問題の現状が報告され、次いで日本企業としての輸出管理のあるべき姿の考察が発表された。さらに中国の軍事力の詳細な分析、台湾、米国との軍事バランスの解析、中国の軍事力に対する戦略などにつき報告された。中国は広大なマーケットであると同時に輸出においては安全保障上の注意を払う必要があるため、輸出管理の実務者にとっても非常に関心が高いテーマであった。
 自由論題セッション、テーマセッションを含め、それぞれ現時点で関心の高いテーマであり、産官学のそれぞれの側面からの分析が報告され、フロアからも活発な質問・意見が出され有益な研究大会であった。

2012年3月

日本安全保障貿易学会 副会長 佐藤 丙午


佐藤副会長 挨拶


日本安全保障貿易学会 第13回研究大会プログラム

日時:2012 年3月24 日(土) 12:15~16:50
   12:15~12:50 第13回研究大会 自由論題セッション
   13:00~15:00 第13回研究大会 第1セッション
   15:10~16:50 第13回研究大会 第2セッション
会場:拓殖大学 文京キャンパス C301教室


第13回研究大会
自由論題セッション          12:15~12:50

 報告者:小野 純子氏(一般財団法人 安全保障貿易情報センター)
     「アメリカにおける外交政策と輸出管理-その歴史的展開-」
 司会兼討論者:佐藤 丙午氏(拓殖大学)

第1セッション:「イランの核兵器問題と輸出管理」 13:00~15:00

 報告者:大野 元裕氏(国会議員)
     「イランの核兵器と輸出管理~中東情勢について」
 報告者:田中 浩一郎氏((財)日本エネルギー経済研究所)
     「イランの核開発問題の現状と我が国への影響」
 報告者:後藤 久典氏(経済産業省)
     「迂回輸出について(イラン-北朝鮮との関係)」
 司会兼討論者:浅田 正彦氏(京都大学)

第2セッション:「中国を軸にした輸出管理システム」15:10~16:50

 報告者:風間 武彦氏(一般財団法人 安全保障貿易情報センター)
     「中国軍需産業:調達・拡散と輸出管理問題」
 報告者:新留 二郎氏((株)東芝)
     「中国の輸出管理制度と日本企業の輸出管理」
 報告者:村井 友秀氏(防衛大学校)
     「中国の軍事力:Chinese Military Power」
 司会兼討論者:村山 裕三氏(同志社大学)

 


会場風景




第1セッション:「イランの核兵器問題と輸出管理」
左より 浅田 正彦氏、大野 元裕氏、田中 浩一郎氏、後藤 久典氏



第2セッション:「中国を軸にした輸出管理システム」
左より 村山 裕三氏、風間 武彦氏、新留 二郎氏、村井 友秀氏